キープ
りれき
お店
チャット
時計の針がゆっくり進むたびに、
部屋の空気が少しずつ柔らかくなる。
外の喧騒が遠くにぼやけて、
カーテン越しの明かりだけが
ふたりをそっと包み込むみたいで、
この瞬間だけ別の世界に来たみたい。
「今日は…ちょっとこっち来て」
その一言だけで胸がざわっとして、
歩き出す足音までやけに大きく聞こえる。
隣に座ると、
ふっと触れそうで触れない距離が
いつもの時間とは違って見えて、
頬がじんわり熱くなる。
肩に触れた指先、
呼吸のリズム、
小さく漏れる笑い声。
どれも全部、
外には見せない“ふたりだけの温度”で、
この部屋の中にだけ漂っている。
誰にも言えないし、
言うつもりもない。
だって、この秘密の時間は
ふたりだけのものだから。
今日もまた、
静かに溶けていくような
そんな甘いひととき──。
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